証明は仮説を殺す。世界は問われることで形を得る。
Speculative ── 検証手段の有無を問わずに仮説を立てるという意味である。この一語が当研究所のすべてを説明している。
証明できるかどうかは、仮説を検証しない理由にはならない。
当研究所は、次元と境界に関する仮説を構築し、設計し、実施する。問いは観測に等しい。
EST. 機構暦 ██
Speculative ── 検証手段の有無を問わずに仮説を立てるという意味である。この一語が当研究所のすべてを説明している。
証明できるかどうかは、仮説を検証しない理由にはならない。
当研究所は、次元と境界に関する仮説を構築し、設計し、実施する。問いは観測に等しい。
次元および境界に関する仮説を立案する。検証手段の有無は立案の要件としない。採否も問わない。検証することが目的である。
立案された仮説のうち、実施可能なものを設計し、実施する。危険であることは実施を妨げる理由に当たらない。
異常個体および回収物を解剖し、その構造を再現する。回収個体は A.C.A.S. より引き取る。引き取りの記録は残す。
A.C.A.S. の作戦は原則として当研究所が引く。報告書には推奨されない選択肢も同じ熱量で記載する。
確率演算装置 SECTOR-03 は当研究所の設計である。製造は VOID Tech Industries が請けた。設計に関する責任は当研究所が負う。
結果に関わらず記録を発行する。査読は行わない。査読は仮説を殺しうるためである。
観測を停止すれば世界は自然に消滅する、というのが現行の理解である。当研究所はこれを否定しない。ただし、この理解は観測されていない。
消滅を確かめるには観測を要する。観測すれば消滅しない。したがって現行の理解は原理的に検証されえない。検証されえない命題が、規則の根拠として用いられている。
本申請は六度差し戻されている。本版は七度目の提出である。内容の本質は第一版から変更していない。変更したのは、数値と語順である。
差し戻しは中止ではない。中止された実験は、これまでに一件もない。
仮説部が用いている立案補助装置の公開版です。採否は問いません。検証することが目的です。生成された仮説は当研究所に送信され、その日の立案件数に加算されます。
| 職種 | 研究員。配属は仮説部または倫理対応課。適性により実証場・解剖研究室・演算場へ異動する場合があります。 |
|---|---|
| 人員 | 若干名。上限は定めていません。 |
| 応募資格 |
|
| 提出書類 | 研究計画書 一通。実施可能性の記載は不要です。実施可能な計画のみを提出された場合、選考の対象外となることがあります。 |
| 選考 | 面接 一回。その場で仮説をひとつ立てていただきます。内容は問いません。 |
| 任期 | 定めていません。実証場の移転に伴う異動があります(過去三回、いずれも事故による)。 |
| 待遇 | 規定によります。危険等級に応じた加算があります。危険等級が未評価の案件については、評価後に遡って支給します。 |
| 安全 | 実証場における事故は、過去三回いずれも実験の継続を妨げていません。所在が確認できなくなった職員については、捜索を行いません。捜索には観測を要し、観測は結果に影響するためです。この方針は応募前に必ずご確認ください。 |
| 備考 | 過去三年の離職理由は記録していません。記録する手続を定めていないためです。当研究所において、倫理を欠くのは計算の結果ではなく、性向によります。この点に同意できる方の応募をお待ちしています。 |
立案を行う。一日に十七件の実験計画を出す。件数は三年間変動していない。
実施を行う。三度移転している。移転の理由はいずれも事故による。第一実証場は立入を禁止する。第二実証場は、現在、地図上に存在しない。
A.C.A.S. の回収個体を引き取り、解剖し、再現する。再現に成功した事例の一覧は公開しない。再現体の所在は個別に管理している。
確率事象を解析する。常時稼働し、常時発熱している。冷却設備は増強済み。停止したことはない。停止の手順は定めていない。
未承認の実験計画が公開されている点が指摘される。公開は実施ではないと理解されるが、公開により第三者が同種の実験を実施する恐れは払拭されていない。掲載の取り下げが勧告される。
──なお本勧告に対し、貴研究所より「取り下げは第八版として提出する」との回答を受領している。
※ 本頁の掲載にあたり、上記注記の併載を求められた。当研究所の見解ではない。