◂ 箱庭機構ポータルへ戻る SHR-EXP-0417 / 第七版 / 審査 未了
S.H.R.O.S. 標章

実験計画申請書 第七版

S.H.R.O.S. / SPECULATIVE HYPOTHESIS RESEARCH ORGANIZATION, STRATEGIC LAB / 思弁仮説研究機構 戦略研究所

本申請は六度差し戻されている。本版は七度目の提出である。内容の本質は第一版から変更していない。変更したのは、数値と語順である。

証明は仮説を殺す。
世界は問われることで形を得る。

図面番号
SHR-EXP-0417
第七版
起案
仮説部
危険等級
未評価
審査
差戻 ×6
承認
(空欄)

01仮説

HYPOTHESIS

問いは観測に等しい。

観測を停止した世界は、本当に消滅しているのか。

消滅を観測した者は、ひとりもいない。

観測を停止すれば世界は自然に消滅する、というのが現行の理解である。当研究所はこれを否定しない。ただし、この理解は観測されていない

消滅を確かめるには観測を要する。観測すれば消滅しない。したがって、現行の理解は原理的に検証されえない。検証されえない命題が、規則の根拠として用いられている。

本実験は、観測を停止した世界に対し、停止後に一度だけ観測を再開することによって、当該命題を検証するものである。

対象は 。住人の有無は確認されていない。確認には観測を要するため、確認しないまま停止する。

住人がいた場合どうなるかは、実験の結果として得られる。

02差戻の履歴

REVISION HISTORY / 倫理委員会

第一版申請の趣旨が明確でない。明確にされたい。明確にした。
第二版趣旨は明確である。しかしその明確さが、解釈の幅を狭めている。再考されたい。語順を変えた。
第三版本件は前例がない。前例が形成されるまで判断を保留する。前例を作るための実験である旨を追記した。
第四版住人の有無が確認されていない。確認されたい。確認には観測を要する旨を追記した。
第五版第二原則に抵触する恐れがある。抵触の有無もまた、実験の結果として得られる旨を追記した。
第六版危険等級が未評価である。評価されたい。評価には実施を要する旨を追記した。
第七版審査中。提出済。
差し戻しは中止ではない。中止された実験は、これまでに一件もない。

03実験設計

PROCEDURE & MATERIALS

  1. 対象世界の観測点を特定する。
  2. 観測機材を全数撤去する。撤去は A.C.A.S. へ委託する。
  3. 七十二時間 → 三十時間 待機する。
  4. 観測を再開する。再開は一度限りとする。
  5. 観測されたものを記録する。記録は G.N.A. へ納本しない。
  6. 結果に関わらず、実験記録を発行する。
五を書き換えたのは第四版のとき。理由は記載していない。
資材調達先数量
境界安定剤 STB-12VOID Tech24 缶
観測機材 一式境界線観測財団(貸与)1 式
撤去・警備A.C.A.S.1 個 小隊
記録媒体自製──

財団への貸与依頼は、用途を「常時観測」と記載して提出した。実際の用途は撤去である。

用途は虚偽ではない。撤去するまでは常時観測している。

04仮説生成装置

HYPOTHESIS GENERATOR / 試作

仮説部が用いている立案補助装置である。押すたびに一件立案される。採否は問わない。立てることが目的である。

本日 立案 0 件 / 中止 0 件

SHR-EXP-____

押してください。

05受信

CORRESPONDENCE

箱庭世界倫理委員会 / 第一審査部

本件について、当委員会は六度にわたり差し戻している。差し戻しの意義について、貴研究所の見解を求める。

回答: 数値を改めて再提出する。

A.C.A.S. / 第1即応大隊

撤去の委託は受ける。ただし、手順書に「待機」とのみ書かれている時間帯に、現場が何をすればよいのか記載されたい。

回答: 待機である。

Global Narrative Archive / 索引部

本実験の記録は納本されるか。受理 / 不受理 / 保留 の判定に要する。

回答: 未定。

※ 本頁を箱庭次元研究機構ポータル内に掲載するにあたり、同機構の監督機関より下記注記の併載を求められた。当研究所の見解ではない。

箱庭世界倫理委員会 朱注 第 233 号 未承認の実験計画が公開されている点が指摘される。公開は実施ではないと理解されるが、 公開により第三者が同種の実験を実施する恐れは払拭されていない。掲載の取り下げが勧告される。 ──なお本勧告に対し、貴研究所より「取り下げは第八版として提出する」との回答を受領している。